炎症と痛み (侵害受容器性疼痛)

炎症とは、身体が、なんらかの「外部刺激」を受けた結果として、恒常性(=身体を正常な状態に保つこと)を維持するために起こす「生理学的反応」のことです。

ここでいう外部刺激とは、
①打撲、捻挫(脱臼)、擦過傷、裂傷、刺傷などの外部からの物理的刺激
②細菌・ウイルスなどの病原体の体内への侵入
③化学物質などの体内への侵入
④高温あるいは低温などの温度環境変化
⑤(精神的)ストレス

などのことを表します。

炎症のメカニズム


炎症のメカニズムとしては、以下のような流れになります。

①細胞膜リン脂質に外部刺激が加わる
 ↓ 
②刺激を受けた細胞(細胞膜リン脂質)上の「アラキドン酸」が「ホスホリパーゼA2」という酵素によって細胞膜上から分離される。
 ↓
③「アラキドン酸」はさらに、「COX」という酵素の仲介によって「PGG2」という物質に変換される。
 ↓
④「PGG2」は「ヒドロペルオキシターゼ」という酵素の仲介によって「プロスタグランジン」や「ロイコトリエン」、「トロンボキサン」という炎症物質を合成する。
 ↓
⑤「プロスタグランジン」や「ロイコトリエン」、「トロンボキサン」などの炎症物質は、損傷した組織(外部刺激を受けた組織)へ放出される。
(特に「プロスタグランジン」は、発痛増強物質である「ブラジキニン」の感受性を増大させる作用もあるため、炎症⇒痛みにも深く関わっている。)
 ↓
⑥これらの刺激を受け、組織の血管透過性(血管拡張)が生じて血流が増加、白血球などが集積することで炎症が生じる。

以上が炎症の基本的な流れ(メカニズム)なります。

炎症から痛みへ

炎症が痛みを起こすメカニズムとしては以下になります。

①外部刺激を受けた組織からの情報が、プロスタグランジンの他、ブラジキニン、ロイコトリエン、サブスタンスPという神経伝達物質を使って末梢神経(求心性神経線維)を通って、脊髄の神経根(後根神経節)に伝達される
 ↓
②脊髄後根から脊髄を伝わって上行し、脳まで到達する。
 ↓
③この刺激は、大部分は脳の頭頂葉という感覚つかさどる部分へ到達し、痛みを感じ(損傷組織へ痛みを伝え)ます。残りの一部は大脳辺縁系の偏桃体という部分へ伝達され、ここでは痛みの刺激からくる様々な感情(情動)に関係する役割が担われます。強い痛みや長く痛みが続くと気分的に抑うつ状態になるのは、痛み刺激がが偏桃体にも及ぶというところからきています。

炎症による痛みへのセルフアプローチ

①安静・冷却・圧迫・挙上いわゆる「RISE」処置。
特に炎症の急性期には重要。


②適切な栄養摂取
特にタンパク質、ビタミンB、C、Eの積極摂取は外傷の場合、損傷部位の修復、ウイルス感染の場合には、リンパ球などの免疫細胞の賦活化に特に重要。逆に過剰な糖類(特に砂糖)の摂取は炎症を助長する可能性大のため控える。

③十分な休息十分な睡眠は、成長ホルモンなどのホルモンバランスの調整することにより、炎症や痛みの軽減に不可欠。


補足:
あくまで個人的な考えですが、NSAIDs(いわゆる消炎鎮痛薬)やアセトアミノフェン等の解熱鎮痛剤服用については、かなりの高熱、耐え難い疼痛、骨折等の急性期で特に炎症症状が過剰な時などの「やむを得ない場合」を除いて積極的服用は控えた方がよいと考えます。

特に最近では、炎症や痛みが起こる前にあらかじめ服用するケースが特に最近多く見受けられるがあるが、望ましくないと考えます。(ワクチンの副反応による発熱に備えるなど、、、)

理由として、炎症やそれに伴う痛み知覚反応は「生体における生理的反応」であり、炎症やそれに伴う発熱や疼痛は、免疫細胞の賦活化や組織の修復には必要不可欠であると考えるためです。特に対ウイルスが原因で炎症が生じている場合、その炎症症状は人工的に鎮めるものではないと考えます。



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