第4胸椎(T4)症候群

1.第4胸椎(T4)症候群とは?

第4胸椎(T4)症候群は、第4胸椎の上下の椎骨との関節部分(椎間関節孔)付近で近傍を通過する交感神経線維とその血管が圧迫・刺激されることで上肢にあらわれる症状のことを指します。

交感神経は副交感神経と並んで自律神経の一つとされ、我々の身体の内部機能(呼吸や体温、血圧調節など)を調節する重要な神経機能です。交感神経、副交感神経とも生理的活動において、相互に連携して様々な働きを担っております。交感神経は皮膚や筋組織の血流調整にも深く関わっていますが、T4症候群では第4胸椎周辺での関節の微妙なズレや筋膜などの軟部組織の癒着が原因となり、近傍を通過する交感神経線維や交感神経へ行く血管が圧迫あるいは刺激されることで頭部~頚・肩・上肢までに種々の症状をきたします。

胸椎の4番目付近での圧迫・刺激のため、背部などに症状が出そうなものですが、近傍を通過する交感神経は第4胸椎の椎傍神経節からは出ずに、そのままさらに3分節~6分節ほど上行し、上部の頚部の神経節(椎傍神経節)から出て、そこで腕や手に行く神経(脊髄末梢神経)と合流したうえで頚部や上肢の筋・皮膚血管に分布しこれらを支配するため、症状は頚~肩、片側上腕や前腕などに現れます。

2.おもな原因

猫背やスウェイバック姿勢などの不良姿勢などが原因となり、第4胸椎付近に負荷が集中し、関節サブラクセーション(関節のズレ)が生じることで発症します。また長期の不良姿勢などにより肩甲骨周囲の筋肉(僧帽筋・上後鋸筋・菱形筋)の短縮・緊張することなども症状を誘発すると考えられます。

T4症候群との鑑別診断で最も重要となってくるのは頸椎ヘルニアです。
頸椎ヘルニアは、首の神経(脊髄や神経根)が圧迫されることにより、頚~肩周囲にかけての痛み・こり感、上肢のしびれや筋力低下をきたすため、T4症候群との鑑別が難しく、整形外科等でもヘルニアと診断されることもあります。ヘルニアに対する治療をしていても症状がいっこうに改善されないなどの結果、T4症候群と判明することがあります。しかしT4症候群が治療者の間でもあまりしられてない症状でもあり見落とされることが比較的多い印象を受けます。

鑑別する上で重要なのは、神経学的所見の有無(皮膚分節症状や腱反射)、筋力低下(筋委縮含む)の有無を確認することが重要で、T4症候群の場合、上肢のしびれ感などはあるものの、いわゆる頸椎ヘルニアに特有の神経所見(ジャクソン・スパーリングテストなど)が陰性であったり、筋力低下、巧緻性障害(指のつまみ動作など)がみられないため、細かくみていけば鑑別することは可能です。

3.症状

(1)前腕から手・指にかけての知覚障害(しびれ感)
(2)手の熱感または冷感
(3)上肢全体が重だるい
(4)上肢全体がむくんでいるような感覚
(5)上肢全体がむずむずするような感覚
※いずれも筋力低下はない。神経学的所見も陰性となる。

4.治療法

上記のように、まずは頸椎ヘルニアを除外した上で治療に入ります。
主な治療法としては、
(1)胸椎を中心とした脊柱アライメントの調整
 →脊柱カップリングモーションを考慮したうえでの関節運動学的アプローチ
(2)第4胸椎椎間関節包リリース
(3)中部僧帽筋・菱形筋・上後鋸筋リリース
(4)上部肋骨・上部胸椎の変位の改善
(5)頭部前方位の改善(姿勢改善)


T4症候群の治療で重要なのは、第4胸椎を含めた脊椎全体のアライメント調整とその後の姿勢指導が特に重要です。施術で症状が改善されても自宅に帰りまた不良姿勢に戻ってしまうと症状の再発を起こしやすいためです。

当院では、脊椎アジャストメントによる症状改善はもちろん、その後の姿勢改善のための運動療法も丁寧にお伝えしております。詳細はお気軽にお問合せください。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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