筋筋膜性腰痛は、「腰背筋やその筋膜、およびそこを通過している皮神経への炎症や伸張ストレスなどの刺激変化に伴う痛み」と定義されます。
広背筋、脊柱起立筋、多裂筋などの筋肉(筋膜)自体が腰痛の原因になることもありますが、上の図にもあるように、それらの筋群(筋膜)を貫通している神経線維(皮神経)が貫通部分(筋膜孔)で絞扼されることで痛みが出ているケースがみられます。(背筋群の筋膜孔より出ている脊髄神経後枝や骨盤外側上部よりでている上殿皮神経が絞扼されることが多い。)
筋筋膜性腰痛の原因には普段の姿勢:不良姿勢が大きく影響し、特に「スウェイバック姿勢」という不良姿勢が関係していると考えています。
スウェイバック姿勢とは下図の通り、胸椎(背中)が後弯し(いわゆる猫背)、骨盤は後傾位、頭部は前方へ変位している状態のことを表します。(骨盤はまれに前傾位になる場合もあります。)
スウェイバック姿勢は『後弯平坦型姿勢』とも言われますが、骨盤が後傾すると運動連鎖的に胸椎(背中)は後弯し、腰椎は平坦になります。腰背部が丸くなることで背中~腰に付着している筋群(広背筋・脊柱起立筋・多裂筋)は筋長が長くなり、伸張ストレス(引き伸ばされる)負荷がかかります。骨盤後傾はささらに下肢へも影響を与え、骨盤から大腿骨後面に付着するハムストリングは短縮位になり、ハムストリングが短縮すると骨盤を後下方へ牽引するため、結果的に骨盤後傾位を助長します。ハムストリングの短縮は骨盤を介して腰背部筋群にも伝達し牽引するため、これはさらに伸張されます。
この姿勢のまま長時間デスクワークをしたり、長時間立って作業をしていたりすることで、最終的に筋膜や皮神経に微細なダメージ(マイクロトラウマ)を受け、
腰背部筋群の持続的過剰伸張 ⇒ 組織損傷(マイクロトラウマ) ⇒ 腰痛発症
という流れになります。
したがって筋筋膜性腰痛は、スポーツ活動や重量物の挙上などで腰背部に大きな外力がかかること(いわゆるぎっくり腰:急性腰痛)で発症するよりも、日常動作:姿勢(立位・座位姿勢や歩行時など)のくせが原因となって発症に至ることの方が多い言えます。(当院の患者さんでも後者が多いです。)
筋筋膜性腰痛に対する治療として重要なポイントは以下になります。
①胸椎後弯・腰椎平坦アライメントの修正
②腰背部の皮神経の絞扼解除(リリース)
③腰背部筋群(筋膜)のリリース
④姿勢改善 ⇒ 運動療法
まず①ですが、腰背部筋群の伸張負荷の主原因となっている胸椎~腰椎(上部腰椎)にかけての後弯(屈曲)変位をアジャストメントします。症状が強くない、あるいは腰痛発症してからそれほど時間が経過していない場合、このアジャストメントだけで腰痛が改善することもあります。
次に②ですが、皮神経は筋膜にある穴(筋膜孔)という部分を貫通し皮下に出てきますが、この筋膜孔で絞扼されることが非常に多いです。皮神経は筋肉を動かすようないわゆる運動神経線維ではなく、皮膚感覚などを伝える知覚神経(感覚神経)であるためより痛みなどの知覚が感じられやすいと考えられますが、神経線維が筋膜孔で絞扼されると神経線維への血液供給が乏しくなるため、これが痛みや違和感を発症させます。そしてこの皮神経の治療では筋膜孔を触診で探し、神経絞扼が生じている箇所を丁寧にリリースします。
③の筋膜リリースは、伸張ストレスがかかり線維性の変性や癒着が生じている箇所を中心にリリースします。
最後に④ですが、胸椎後弯~骨盤後傾位を修正するためのエクササイズを行うことで再発の防止を目指します。特に重要な筋群としては、股関節屈筋群(腸腰筋など)と腰背部ローカル筋(多裂筋など)の活性化になります。
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とくやま徒手療法研究所・施術院
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