前方頸椎症候群(頭部前突位)

前方頸椎症候群とは、上図のように頭部が脊椎(胸椎)に対して、前方に変位することで、重い頭部に引っ張られるように頸椎(特に第6-7頸椎)が前方すべりを起こし、それに伴って生じる種々の症状のことを表します。

前方頸椎症候群の主な症状

  • 肩こり・頚こり
    ⇒頭部が前方に変位することで、それ以上前方にいかないようにさせるために頚部周囲の筋群に過剰な伸張負荷がかかり続けます。筋肉(筋膜)への持続的な伸張負荷は、筋肉の収縮異常を起こし(筋スパズム)、また筋への血流、栄養供給が不全となり、結果的に筋組織は疲労し、筋痛や凝りの症状を引き起こします。
  • 頭痛やめまい、目の奥の痛み
    ⇒上記の筋疲労は頚部や肩周りの凝りや痛みを発生させるだけでなく、頭痛やめまいの原因にもなります。(関連痛)。またそれらの筋肉を支配している神経が後頭下(頭蓋骨の付け根)で絞扼されると、これらの神経は、三叉神経などの脳神経と連絡しているために、神経絞扼により神経血管への血流不良の情報が三叉神経や視神経などに伝わり、頭痛や目の奥の痛みとして認識されることがあります。
  • 上肢のしびれ(神経症状)
    ⇒頭部が前方変位することで、中下部頸椎から出て上肢の感覚や運動を支配する腕神経叢や、下部頸椎に位置する星状神経節とよばれる交感神経(自律神経)に伸張ストレスや圧迫負荷がかかることで、上肢のしびれ(特に手首から先)や冷え、発汗異常などの神経症状が生じることがあります。
  • 内臓の不調(特に胃腸)
    ⇒頭部が前方へ変位すると胸椎は代償的に後方へシフトし、いわゆる「猫背姿勢」になりますが、この姿勢は、腹腔内圧が正確に機能せず、内臓を下方へ押しやる負荷が働き、胃痛や不快感などにつながります。

前方頸椎に対する治療アプローチ●

  • 下部頸椎アジャストメント
    ⇒頭部が前方変位すると下部頸椎は前方すべりを起こすため、これを修正することは頭部前方症候群の治療で最も重要です。
  • 上部頸椎(環椎)アジャストメント
    ⇒下部頸椎が前方すべりを起こすと、上部頸椎(第1-2頸椎)は代償的に過伸展変位を起こします。上部頸椎の過伸展は近傍を通過する頚神経や副神経を絞扼したり、後頭下筋群と呼ばれるいわゆる頭部のインナーマッスルに過緊張が生じ、頭痛やめまい等の原因になるため、下部頸椎と同様に上部頸椎過伸展の修正は特に重要になります。
  • 頚部筋膜のリリース
    上部・下部頸椎の関節が変位することで頚部周囲の筋膜にも過緊張が生じます。特に頚部側部の筋膜は薄い膜構造になっており、これらが緊張することで、周囲を通過する血管や神経を絞扼することになるため、頚部筋膜のリリースは重要です。
  • 上部頸神経のモビライゼーション
    ⇒頸椎(関節)のアジャストメントを行っても、神経等の絞扼が残存していることがあるため、個別に絞扼している箇所をモビライズしていきます。
  • 内臓マニピュレーション
    ⇒冒頭にも記載しましたが、頭部の前方変位は胸椎の後方変位(後弯)を生じさせ、この姿勢は内臓に下方への負担がかかり、胃や肝臓、腎臓などの内臓器が下垂を起こすことがあります。内臓の下垂は、胃部不快感、食欲不振、逆流性食道炎、頻尿、慢性疲労などの自律神経症状を起こすことがあるため、上記の関節、神経、筋肉に対するアプローチで症状が改善しない場合は、内臓に対してもアプローチが必要です。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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