後頭下筋群と頭痛/めまいとの関連性

後頭下筋群は小後頭直筋、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋からなる後頭下の深項部に存在する小筋群ですが、これらの筋群の機能異常がしばしば頭痛(頚性頭痛)やめまい(主に浮動性めまい)、耳鳴り、眼精疲労といった症状のトリガーになります。

後頭下筋群の作用としては重要なのは、上部頸椎の安定化機構(動的安定性)です。

この筋群のうち特に小・大後頭直筋には多くの筋紡錘(固有受容器)が存在しており、深部感覚(バランス機能)や筋肉の緊張具合を調整しております。

後頭下筋群には、頸椎を伸展(後屈)させる作用もありますが、良姿勢ではこれらの筋群はあまり収縮がみられず、一方、頭部が前突位になると筋緊張します。

上の図がいわゆる頭部前突位の姿勢ですが、この姿勢は後頭下筋群の他、胸鎖乳突筋、僧帽筋(上部線維)、肩甲挙筋、顎関節、舌骨周囲の筋肉も過緊張状態となり、肩こり、頚部痛、頭痛、顔面周辺の自律神経症状など様々な症状の原因になる可能性があります。

後頭下筋群の内容に戻りますが、この筋群のうち小後頭直筋は、環椎後頭膜を介して脳の硬膜と関節的に結合しております。また、この図には図示してありませんが、後頭下筋群を介して椎骨動脈と第1頚神経後枝(後頭下神経)は環椎後頭膜を貫いて脳内に入っています。

小後頭直筋をはじめとする後頭下直筋が、頭部前突位などの不良姿勢にともなって過緊張を起こすと、その刺激が環椎後頭膜を介して結合靭帯→硬膜に伝わる可能性が考えられます。硬膜(外側から硬膜、くも膜、軟膜)の内側には脳脊髄液、脊髄が隣接するため、硬膜が緊張することによりこれらの組織の恒常性に影響することが考えられます。(その結果として身体に感じる症状が頭痛であったり、浮動性めまいや耳鳴りである可能性があると考えます。)

また後頭下筋群が過緊張を起こすことで筋の線維化(変性:硬くなる)や萎縮を起こし、特に線維化は近傍を通過する椎骨動脈や後頭下神経を圧迫刺激する可能性があり、筋の過緊張状態が続くことで筋自体が委縮を起こすと筋内にある筋紡錘(固有受容器)の機能低下を引き起こしますが、これは結果的にバランス機能の低下につながります。

特に椎骨動脈は小脳などに血流供給を行っているため、椎骨動脈の血流以上はバランス感覚や巧緻性動作に影響する可能性が考えられます。

また、後頭下の神経は脳内で三叉神経(CN V)と連絡があるため、これも頭痛のほか、顔面痛、顎関節痛、歯痛などの関連痛を生じさせる可能性もあります。

これらの結果として現れる症状には以下のようなものがあります。

  • 頭痛(後頭部~側頭部痛)
    ⇒緊張性頭痛/片頭痛の両方起こりうる
  • 眼の奥の痛み(鈍痛)
  • 視野がぼやける(眼精疲労)
  • バランス感覚の低下(椎骨動脈の圧迫や固有受容器の機能低下による)
  • 耳鳴り、浮動性のめまい

 ※上図:後頭下筋群が原因の関連痛の範囲

後頭下筋群由来の症状を解消するうえで重要なのは、後頭下筋群(特に小後頭直筋)と環椎後頭膜とのリリースです。他、上部頸椎のアジャストメント、後頭下神経のモビリゼーション、リリースも重要となります。

詳細は、お気軽に当院までお問い合わせください。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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