
骨盤部の痛みにもさまざまありますが、今回は殿皮神経による痛みについてです。

殿皮神経とは
殿皮神経は、腰椎や仙骨部から起こり、腰椎骨盤周囲の筋膜(筋膜孔)を貫き皮下に出てきて骨盤外側や臀部周囲の感覚を支配します。
- 上殿皮神経:第12胸椎-第3腰椎からでる神経線維で主に骨盤(腸骨)外側の感覚に関与
- 中殿皮神経:第1-3仙骨孔より出る神経線維で主に仙骨周囲の感覚に関与
- 下殿皮神経:第1-3仙骨孔より出る神経線維で主に座骨部の感覚に関与
殿皮神経痛の原因
猫背などの不良姿勢で背中~腰に掛けて丸まったりすることで、周囲の筋膜が持続的に伸ばされ(伸張ストレス)ます。筋膜線維は持続的に伸張(過伸張)されることで微細な損傷を起こし、その結果筋膜線維が硬くなります(線維化)。
こうなると筋膜孔を通過する殿皮神経は容易に圧迫や絞扼されやすくなり、結果として神経線維にも微細な損傷(マイクロトラウマ)が波及してしまいます。
上の図のように、殿皮神経の出口(筋膜孔)は骨盤外側や仙骨部に存在するため、この部分で絞扼されやすく、これが骨盤周囲の痛みやしびれ(知覚障害)を引き起こします。
殿皮神経痛の特徴
- 片側性の骨盤外側部、臀部周囲の痛み(じっとしていても症状がある)
- 歩くと痛みが増強する
- 骨盤を手でトントンたたくとましになる
- 腰自体の痛みはない(ある場合もあるが殿皮神経とは別)
- 長時間の座位で痛みが顕著になる
- 前傾姿勢で痛みが増強する
- 仰向けで寝ると痛みが増強する
鑑別診断
- 坐骨神経由来の痛み(椎間板ヘルニア、梨状筋症候群など)
- 広背筋、多裂筋、殿筋群(大殿筋、中殿筋、小殿筋)、大腿筋膜張筋からの痛み
- 腰椎椎間関節障害からの関連痛
- 股関節周囲炎からの関連痛
- 内臓(腎臓など)からの関連痛 など
治療法
- 殿皮神経のリリース/モビリゼーション
- 胸腰椎部のアライメント修正
- 筋膜孔(殿皮神経の出口)の開大
- 運動療法 ⇒ 不良姿勢の改善
殿皮神経の手技療法でもっとも重要なのは、絞扼されている箇所の特定(触診)です。先ほども記載しましたが殿皮神経は多くの場合、筋膜孔で絞扼されていることが多く、ここを特定できないと痛みは取れないといえます。
まれに臀部をほぐすだけで痛みが解消することがありますが、これはおそらくほぐしている箇所が偶然筋膜孔部であったためであると考えられます。(基本は絞扼箇所を丁寧にリリースしないと改善しない)
また、鑑別診断の箇所でも記載しましたが、坐骨神経痛と間違われることが多く、坐骨神経に対する治療をしていても症状が全く改善しない場合、この殿皮神経痛の可能性があります。
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