肝臓の不調にともなう肩や頚、背中の痛み

今回は、肝臓の不調がもたらす肩や頚、背中の痛みを引き起こすメカニズムと治療法についてご紹介いたします。

肝臓の解剖生理学

  • 肝臓は、人体最大の消化腺(内臓)で重さは約1kg
  • 肝臓の位置は、上縁はだいたい第5肋骨の高さ、下縁は胸郭下端(肋骨下端)、横幅は右側は胸郭(肋骨)に覆われる形で、左側は身体の真ん中(正中線)を超えて胃の入り口(噴門部)と接合
  • 臓器の温度は約40度
  • 神経支配:迷走神経(第Ⅹ脳神経、副交感神経)、腹腔神経、横隔神経(頚神経)、交感神経

肝臓の機能

  • 各種タンパク質、酵素、ホルモンの生成
  • 胆汁を生成し、脂肪の分解(乳化)を促進
  • 解毒作用(アルコール分解、アンモニア→尿素変換、薬剤などの化学物質の分解)
  • 糖(グリコーゲン)の貯蔵
  • ホルモンの分解
  • 血液(ヘモグロビン)の分解  など多数

肝臓の不調による症状

  • 右肩・頚の痛み、重だるさ
  • 右上肢の重だるさ
  • 右背部の鈍痛
  • 腰部の鈍痛、坐骨神経様のしびれ

※これらに共通する点として、

  • 安静時(寝ている時など)の症状がある
  • 朝起きた時の症状が強い。
  • 肩や頚のマッサージで症状が軽減しない
  • 疲労が溜まったり、アルコールを飲んだ翌日などによく症状がでる

などが挙げられます。

肝臓の不調が頚肩、背中の痛みを起こすメカニズム

肝臓の血流障害、機能低下、肝炎などの疾患に伴い、肝臓の運動(肝臓は自動運動する)が減少します。それを迷走神経(副交感神経)や交感神経などの自律神経、または横隔神経などへ伝達され、さらにその伝達刺激が背部や頚部の脊髄神経に伝達されることで、痛みやだるさを引き起こします。少し複雑ですがこの時の痛みやだるさは、肝臓自体に感じるよりも、肝臓から離れた右背部や右肩、右頚部に感じられることが多いです。これは、今も記載した通り、肝臓を支配している神経が脳へ情報を伝える際、一旦、脊髄神経(背中や頚)を介して伝えられますが、それらが背中や頚の感覚を伝える神経(感覚神経)と合流する際に、脳が肝臓からの感覚情報と背部や頚部からの感覚情報と混同してしまうことが原因と言われており。この現象を「内臓関連痛」と呼んでいます。

(例)お酒の飲みすぎ

肝臓は、アルコールをADH(アルコール脱水素酵素)によっていったん「アセトアルデヒド」という体内にとっては有害な物質に変換されます。さらにALDH(アルデヒド脱水素酵素)の働きによってアセトアルデヒドを体内にとって無害な「酢酸」へ分解させ、酢酸は血液を通って全身を巡るうちに水と炭酸ガスに分解され、最終的に尿として体外へ排出されます。

この分解能力には個人差がありますが(分解酵素を持っていない方はお酒が飲めない)、お酒に強い方でも限度を超えると、肝臓で分解しきれなかったアルコール成分が体内に回り始めます。そこで肝臓は働きを強め、アルコールの分解に奔走しますが、やがて疲弊してしまい、疲弊すると肝臓は本来の弾力性が失われて、この結果、肝臓への血流循環も悪くなってしまいます。この状態を交感神経や横隔神経が脊髄を介して脳に伝える途中に背部や頚部の感覚神経根を刺激することで、背中や頚、肩の痛みや重だるさを感じるといったメカニズムになります。

治療法

  • 肝臓のマニピュレーション
     自動運動や可動性に乏しい方向を触診で見つけ、そこにアプローチする
  • 迷走神経、横隔神経、交感神経のモビリゼーション
     肝臓を支配している神経に対して、適度の刺激とリリーステクニックを用いて神経機能を正常化させることで肝臓にアプローチする。また肝臓上縁は横隔膜の下縁と癒着していることがあるので、癒着があればリリースする

※適応外症状(禁忌)
肝臓の器質的疾患がある場合や血液検査で明らかな異常がある場合。または肝臓へのアプローチで気分が悪くなる場合など。

詳細は、お気軽に当院までお問い合わせください。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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