
『患者さんの痛みに共感する』とか『患者さんの痛みに寄り添う』といった言葉や広告をよく耳にしたり、見たりします。(広告に関しては大概、過大広告のことが多いとおもう笑)
痛みを抱えておられる方に接するうえで、この考え方はとても大事であると思いますし、この言葉自体も非常に素晴らしい言葉であるとおもいます。
痛みを抱える人のそばに寄り添い、共感することで幾分痛みが軽減することもあるかもしれません。
我々のようないわゆる『治療家』とよばれる人も、自分のクライアントの施術に当たるうえで、「痛みに寄り添う」といった慈悲に近い心を持つこと、あるいは持とうと意識することは言うまでもなく重要です。
ただ、ここでひとつ間違ってはいけないことがあります。
それは人(他人)の痛みを自分が完全に共有(コントロール)できると考えてしまうことです。
痛みというものはあくまであくまでその人の脳内に生じる主観的な『感覚=概念』になります。
したがって痛みという感覚がその人にどう左右するのかということは、その時々の状況、あるいはその人自身の性格や物事の考え方によっても変化するものになると思います。
つまり、誤解を恐れずに言えば、100%完全に人の痛みを自分が共有(共感)するということは残念ながら不可能であるということになります。
逆に、共有できないものに対して安易に、
「私はあなたの痛みを共感します」とか、
「あなたと共にいます」という軽々しい態度がかえって、
「私の痛みなんてあなたにはわからない」、
「あなたの共感(同情)はありがたいが、かといって痛みが和らぐわけではない」
というような、相手に対して負の感情を抱かせてしまうことにもなりかねない危険性があります。
前述のとおり、「痛みに共感する姿勢」というものはもちろん非常に重要ではあります。
しかし完全に共有できないものをコントロールしようとする前に我々がクライアントの痛みに対してまずすべきことがあると思います。
それは、『常に最小限の施術回数で治しきるという強い意思をもって施術に当たること』
です。
曲がりなりにも我々は痛みの施術に対する専門職であるので、常に最小限、欲を言えば1回の施術で治しきるという強い意思が必要なのは当然であると思います。
もちろん1回の施術ではどうしようもよくならない症状をお持ちの方も多く来院されます。
5回施術して、さらに運動療法などあらゆる策を講じても残念ながら痛みなどの症状が改善しないこともこれまでに何度かありました。
(これには自分の施術技術が足りていない部分も少なからずあるとは思います)
しかし、だからと言って患者さんに
「じゃあ気長にゆっくり治していきましょうね♪♪」
「できるだけたくさん来院してくださいね♪♪」
といった考え方では、その方の症状はおそらくいつまでたってもよくならないでしょうし、
そのような考えで漫然と施術を続けているようでは、それは「詐欺行為」に近いとさえ思います。
1回の施術というその瞬間に、その日に自分ができる最良の施術を提供すること、
あるいは提供しようと努めることが、少しでもその患者さんの抱えている痛みを取り除くことに繋がり、施術が終わるころには痛みが軽減したことで、表情も晴れやかになるといった結果に繋がるのではないかと考えております。
そしてそのような最良の施術を提供するためには、常に施術の理論やテクニックを勉強し続けることも重要です。毎回同じ施術をしていては、いつか頭打ちになることがあるでしょう。そうならないために普段から基礎的な解剖学、あるいは最新の施術技術まで常に自分で勉強し続けることが大切であるとおもいます。
それから、施術者である自分自身が、できるだけ『常に心身ともに健康でいること』。
これも患者さんに最良の施術を提供するための準備段階として非常に重要です。
人の身体を施術する人間が、自分の心身が疲弊している状態では、絶対と言っていいほど良い施術は提供できないでしょうから、常に自分の内面の状態を観察する訓練をしておくことは特に重要です。
実際常に心身健康、絶好調でいるのは難しいので、まだまだ修行中ではありますが、できるだけ毎日いい状態でいれるよう心がけています。
これらすべてが達成されて初めて、真の意味で『患者の痛みに共感すること』に繋がるのではないかと考えています。
とくやま徒手療法研究所・施術院
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