腰椎前方すべり症

腰椎前方すべり症は、「腰椎(椎体)が他の椎体に対して前方へずれる(変位する)ことによって生じる症状」のことを表します。

腰椎はこの前方にすべる以外に後方にすべることもありますが、後方すべりは非常にまれで、前方にすべるケースがほとんどです。

すべり症の症状

椎体と椎体がずれることで椎体間にある椎間板に負荷がかかります。これが腰痛の原因になったり、前方にある脊髄や脊髄神経を圧迫刺激することで、骨盤帯・臀部や下肢へのしびれをともなった痛み(いわゆる坐骨神経痛)を起こすこともあります。また脊髄(厳密には馬尾)を圧迫することで間欠性跛行(しばらく歩くとしびれで歩けなくなり、前屈位の休息で楽になる)排尿障害(尿意減退、頻尿など)をきたすこともあります。

すべり症の症状の増悪する肢位としては、腰椎の過伸展(腰を反る動作)が主になります。すべりが高度になり椎体の不安定性が出てくると、前屈動作でも症状が増悪することがあります。

すべり症の種類

腰椎すべり症には、『分離すべり症』『変性すべり症』の2種類があります。

1.『分離すべり症』

『分離すべり症』とは、腰椎の後方にある「関節突起」という椎体に繋がる骨の部分が外傷による骨折、あるいは関節突起部への繰り返しの負荷により骨折し(いわゆる疲労骨折)、そのご骨折部がうまく癒合しない状態が長く続くことで(偽関節という)やがて椎体自体が前方へすべり始める症状を表します。

成長期のスポーツ活動などで関節突起部に疲労骨折が生じて腰痛が長引くなどの理由で後に医療機関を受診した際にでレントゲン撮影等で分離症が発見されるということもよくあります。疲労骨折を起点に発生する『分離すべり症』は運動負荷の観点から見て第5腰椎に生じることが多いです。(打撲⇒骨折などの外傷の場合は第4腰椎に発症優位性はない。)

2.『変性すべり症』

一方、『変性すべり症』は、加齢変化のひとつとしての病態で椎間板が変性し本来の形状を維持できなくなることで椎体自体が徐々に前方へずれ始めることを表します。

加齢変化のため、50代以降生じやすい症状です。

『変性すべり症』は主に第4腰椎に生じることが多いです。

すべり症に対する治療法

『腰椎すべり症』には、すべりの重症度を表すグレードがあり、以下の4グレードに分類されます。

すべりの度合いが、下位の椎体に対して(上図の場合仙骨に相当)

  • グレード1:25%以下
  • グレード2:50%以下
  • グレード3:75%以下
  • グレード4:75%以上

以上のように分類されますが、グレード3以上になると高い確率で神経症状を併発することが多く、日常生活への支障の観点から手術療法が選択されることがあります。

逆に、すべりがある程度高度であっても(グレード2以上であっても)主訴が腰痛だけである場合などは、保存療法が第一選択になります。

当院のすべり症に対する治療の考え方

上記の通り、患者さんの主訴が腰痛のみで(神経症状があった場合でも馬尾症状が出ていない場合など)早急な外科的アプローチが必要ではない場合、徒手療法や運動療法が奏功することが多いです。

当院が『すべり症』に対する施術で重視している点は以下になります。

①すべりを起こしている椎体へのアプローチ
 ⇒触診で、椎体自体の前方不安定性がないことを確認したうえで実施。
 ⇒対象の腰椎に伸展方向に負荷がかからないように操作。
 ⇒腸腰筋や腰方形筋、PVMを介してすべりを起こしている椎体を触診し、これらの筋の動きも利用しながら復位させる方向にアジャストメント

②上下椎体(すべりが第5腰椎の場合仙骨)のモビリゼーション
 ⇒多くのケースで、すべりを起こしている椎体の上下の椎体(第4腰椎にすべりが生じている場合、第3と第5腰椎)は可動制限を起こしているため、これらを徒手的(他動的に)にモビライズ(可動性をつける)することで、すべりが起きている椎体への伸展負荷を軽減させます。

③運動療法
 ⇒すべり症の症状改善、進行予防には、腹筋群(特に腹横筋)の強化、胸椎や股関節の可動性の獲得は特に重要となってきますので、1つずつ細かく説明し実施していただきます。

また日常動作での注意点(姿勢:腰椎過伸展位にならない)などをお伝えさせていただきます。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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