内側側副靭帯と伏在神経からの痛み

膝痛の中でも、膝の内側の痛みを訴えてご来院される方は多いですが、膝内側の痛みの原因となる病態は主に以下が考えられます。

膝内側の痛みの原因組織

  • 脛骨大腿関節周囲の関節包あるいは滑膜
  • 膝蓋大腿関節周囲の靭帯あるいは脂肪組織
  • 膝蓋骨内側軟骨面の炎症
  • 内側半月板のサブラクセーション
  • 鵞足(縫工筋、薄筋、半腱様筋)
  • 内側広筋
  • 伏在神経(伏在神経膝蓋枝)

などが代表的です。

この中で最近の当院に来院される方で特に多いのが、
伏在神経炎と内側側副靭帯炎に伴う痛み、あるいはその両方を併発している方です。

内側側副靭帯と伏在神経(膝蓋枝)

内側側副靭帯は、その名称のとおり膝関節の内側にあり、膝関節の内側の安定性(外反方向への制動)に寄与しております。

一方、伏在神経は太ももの前面を通過し(ここまでは大腿神経という)、太ももの真ん中やや上方で伏在神経として分岐し、そのまま前内側を下降し、ハンター管(内転筋管)と呼ばれる長内転筋、内側広筋、大内転筋、縫工筋の内ももに付く筋肉に囲まれた筋膜性のトンネルを通り、膝関節の内上方で内転筋管を出て、膝関節内側から外側へ向かう膝蓋枝とそのまま下腿内側を足関節内側の手前まで下降する内側下腿皮枝(縫工枝)へ分かれます。伏在神経は主に膝内側と下腿前内側の感覚(知覚)を担う役割があります。

内側側副靭帯炎と伏在神経炎の主な症状

①内側側副靭帯炎

  • 歩行などの荷重時の痛み
  • 靭帯損傷(部分断裂以上)がある場合は、膝関節の外反動揺性
  • 膝の屈伸時の痛み
  • 炎症が強い場合を除いて安静時痛はない場合が多い

➁伏在神経炎

  • 膝関節内側から下腿内側へ拡がるような痛み
  • 痛みの質は、疼くような痛みで、安静時痛(特に夜間痛)がある。
  • 痛み止め(ロキソニンなどのいわゆるNSAID’S)が効かないことが多い

③内側側副靭帯炎と伏在神経炎のミックス

 症状は、①と➁を合わせたもの、つまり安静時にも疼くような痛みがあり、歩行などの荷重で痛みが増悪する。

(こちらの記事もご覧ください)

内側側副靭帯と伏在神経を同時に痛める原因

膝関節の外反(いわゆるX脚)
膝関節が外反は、大腿骨の内転内旋と下腿(脛骨)の相対的外転外旋が組み合わさったもので、いわゆるX脚と言われるものですが、膝関節の外反が高度になると膝内側の組織には伸張の負荷がかかり続けます。したがって膝内側にある内側側副靭帯や伏在神経、縫工筋などにも伸張負荷がかかります。

この中でも伏在神経は、膝内側の知覚機能を有しているため、ほかの組織よりも膝内側の伸張負荷に対して敏感に反応します。つまり持続的な伸張負荷が伏在神経の痛みを感じる閾値を低下させる可能性があるということです。神経線維が痛みを感じるときは、神経線維の局所で炎症物質が産生され、それが末梢神経⇒中枢神経⇒脳と伝達されるわけですが、局所の炎症が一定期間維持されると、筋肉や靭帯などの隣接する組織にも波及することがあります。(逆のパターン:筋肉、靭帯の炎症が神経に波及する場合もあります。)

治療法

まず、痛みの原因構造が、靭帯(内側靭帯)からくるものなのか、神経(伏在神経膝蓋枝)からなのか、あるいは縫工筋などの筋組織からなのかを、触診や他動運動検査等で正確に鑑別する必要があります。

その上で、原因組織を治療しますが、多くのケースで原因組織には線維化:癒着が生じているため、そこを丁寧にリリースします。また膝関節の回旋変位(外反変位)、股関節、足関節などの上下の関節にも問題があることが多いのでそのあたりも細かくみていきます。

施術後は、膝内側の組織に過度にかかっている伸張負荷を軽減させるような(膝外反を改善させるような)運動療法を実施します。

また、伏在神経が主な痛みの原因の場合、神経細胞の修復の際に必要なビタミンB群(特にB6、B12、葉酸)の摂取や十分なタンパク質の摂取が重要になります。

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