半月板のズレに伴う膝痛(meniscus subluxation)

半月板の損傷は、スポーツ活動中などの膝関節の急な捻じれ(回旋)をともなった動作などで発生するほか、加齢に伴い半月板のコラーゲン組織が変性(一種の老化現象)を起こすことでも発生し、膝関節内の痛みや腫れ(水腫)、引っ掛かり感(重症の場合ロッキング)などの症状を引き起こしますが、

ここでは、半月板の損傷はなくても、半月板が膝関節(厳密には脛骨の関節面上)からずれることで、半月板損傷時と同様の症状を起こす場合について紹介いたします。

半月板の解剖学

半月板には内側半月板と外側半月板があり、どちらも脛骨の関節面上に付着する形で位置しています。

この内外の半月板を内外の側副靭帯や、膝横靭帯、(上の図には図示していないですが)半月大腿靱帯、関節包とともに半月板の安定性を形成しております。

特に内側側副靭帯と内側半月板は直接付着部をもっており、より強固な安定化構造を形成しています。一方外側外側側副靭帯と外側半月板は直接付着部を持たないため、内側半月板と比較して強固な安定性は形成しておりません。

半月板の機能

  • 荷重負荷の緩衝作用と分散
    半月板は運動時だけでなく、歩行時、階段昇降時などの日常動作で膝関節にかかる荷重ストレスを吸収し、半月板自体が形状を変化させることで衝撃を分散させ、結果として膝関節のスタピライズ(安定性)を可能にします。
  • 固有受容感覚
    膝関節に荷重負荷やねじれなどの力学的ストレスが伝われば、半月板がそれを感知し、上行性に(脊髄に)伝えられ、膝の屈曲角度や身体位置を伝えます。これは深部感覚と呼ばれ、位置覚や四肢定位覚といった機能に細分されますが、半月板にはこれらの機能があります。
  • 滑液循環作用(関節軟骨の栄養)
    膝関節の関節軟骨には血流が限りなく乏しいため、関節包滑膜から分泌される滑液(主な成分はヒアルロン酸)が軟骨組織への栄養供給をおこなっております。半月板は膝の荷重に応じて形状を変化させることで、スポンジが収縮膨張するような仕組みで滑液を関節軟骨全体にいきわたらせる役割を担っております。

半月板がずれる原因

半月板がずれる(サブラクセーション)原因は、冒頭に記載した半月板損傷の場合とほぼ同等で、スポーツ活動時や、日常動作時(階段昇降など)の他、膝関節自体の変性に伴い発症することもあります。

ただ、いずれの場合でも膝関節の運動学的に正しくない使い方(回旋ストレス)が原因となり発症することが多いように感じます。

半月板は通常、膝関節の屈曲(膝を曲げる動作)に伴い、脛骨とともにやや後方へう移動します。判定に膝関節の伸展(膝を伸ばす動作)では、脛骨とともにやや前方に移動します。

この時に、膝関節に捻じれ(回旋)が加わるような動作(いわゆる「二―イン」)により、脛骨と大腿骨の間に挟まるように位置している半月板が関節の捻じれと反対方向に押し出されるようにずれることで、本来の位置から逸脱した状態で復位しなくなる状態が「サブラクセーション」です。

関節周囲の構造からみたときに、多くのケースで半月板は前方にサブラクセーションしやすく、屈曲の際に前方に残ったまま後方へ移動しない、あるいは伸展の際に前方へ移動しすぎる(可動性亢進)場合が多く、

症状としては、膝前方の引っ掛かり感、膝関節裂隙の圧痛、動作痛、関節水腫(水が溜まる)などの症状が出現します。

半月板損傷(断裂)との鑑別診断

以下が陽性であれば、半月板損傷(断裂)している可能性があり、断裂が半月板の辺縁部(端の方)であれば、徒手療法適用(回復する可能性がある)ですが、半月板中心部に近い損傷(断裂)がある場合は、徒手的に修復(症状改善)させることは難しいと思われます。(手術適用の可能性)

  • ロッキング現象
  • 関節裂隙の圧痛が、表面的ではなく膝の中に響くような痛み
  • マクマレーテスト陽性
    (膝を深く屈曲させた状態から内旋or外旋させながら伸展させていく途中のクリック音)

半月板サブラクセーションにたいする当院の治療法

半月板に大きな損傷がなく、サブラクセーションが症状の原因の場合、徒手療法が非常に有効となります。当院では主に以下のテクニックを用いて半月板のサブラクセーションに対してアプローチしています。

  • 半月板サブラクセーションに対するマニピュレーション
    前述のとおり、半月板は前方へずれることが多く、これを関節運動学に基づいたテクニックを用いて、半月板に直接コンタクトし、本来の正しい位置へ復位させます。
  • 膝関節(大腿脛骨関節)アジャストメント
    半月板がずれる原因として膝関節自体にねじれが発生している場合が多いため、正しくアジャストメントします。
  • 膝関節関節包リリース
    膝関節の覆う関節包が炎症物質などにより、癒着変性を起こしているため、その個所を触診で探しながらリリースします。
  • 膝関節だけでなく足関節、股関節との運動連鎖を考慮したリハビリメニューの提供
    半月板をはじめとする膝関節の症状の多くは、膝関節に主原因がな隣接する股関節や足関節の運動機能障害が原因となっていることが多いため、それを考慮したリハビリメニューを提供いたします。

詳細はお気軽に当院までお問い合わせください。

とくやま徒手療法研究所・施術院

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