フレイルの予防について

  • 2021年7月8日
  • 2021年9月18日
  • 思想
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フレイルとは、2014年に日本老年医学会が提唱した、「Frailty(虚弱)」の日本語訳のことで、「要介護状態に陥る前段階」に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。

ご高齢者が、加齢などの要因で運動機能や認知機能、栄養代謝障害、免疫機能が低下することで、日常生活を行う上での様々な機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態を表します。

フレイルは、下図のように「身体的」「認知的」「社会的」要因が絡み合っておこります。

・身体活動量が減ることで筋力などの運動機能が低下する
・身体活動量が低下することにより食欲もなくなり栄養摂取量が落ち、代謝機能も低下する
・身体活動量が低下することで屋外へ出て、社会(他人)と交流機会減少するため、孤独になる
・社会交流が減り、他とのコミュニケーションが極端に減少するので機能低下は認知までに及ぶ

といった一連の「悪循環」の結果、フレイル→要介護状態に陥ってしまうことも少ないないのが現状であると思います。

これは以前のブログでも書きましたが、


いま「フレイル状態に陥っている方」そして「衰弱・老衰による死亡」が、新型コ〇ナ問題の影響により急増している(「衰弱・老衰による死亡」に至っては前年対比で+10,572人)とのことです。(老衰による死亡なのでもちろんコ〇ナに感染による死亡ではない)

はっきりとしたエビデンスはないのですが、10,572人という数字は単にたまたま老衰による死亡者数が前年より多かっただけとは言えないぐらいの増加数であると考えています。(誤差の範囲では説明がつかないと考えています。)

「老衰」という言葉を聞くと一般的には、「大きな病気などで苦しまずに」というイメージを持たれる方もいるかと思いますが、今回の場合少し違うのではないかと考えます。

長期間にわたる自粛生活で身体活動量が減少し→活動量が減ることで筋力が低下する→活動量が低下することにより食欲もなくなり栄養摂取量が落ち、代謝機能も低下する→社会(他人)との交流も減少するため、機能低下は認知までに及ぶといった一連の「悪循環」が一定期間続き、最終的にはフレイルを超えて「要介護状態」、そして「心身ともに衰弱した状態」になり、そのまま機能回復することなく最期を迎えるといった経過をたどってしまいます。


これはあくまで私見ですが新型コ〇ナの感染予防対策として、ご高齢者ご本人が自らすすんで様々な社会活動を自粛するという選択をしているのであれば、それはご本人の意思による1つの手段ですので仕方ないでしょう。

その方の症状(持病など)や現段階での体調などその時々の状況にっては、他との交流を制限せざるをえない状況(状態)も少なからずあると思うからです。

しかしそれが、他からの強制力が働くことによって、例えば「ご高齢者にコ〇ナをうつさないため」「自分は感染してもいいが人に感染させたくない、、」などと表面上はすばらしく最もらしいことを言っておきながら、実は自分が社会(他人)、学校、会社、その他のコミュニテイー内での同調圧力を過剰に意識しすぎたり、ゆがんだ正義感が働いたり(いわゆる自粛警察)、被害者意識が過剰になったりしたことの結果として、

いま現段階で自立して動ける(生活できる)ご高齢者の社会活動を本人の意に反して過度に(強制的に)抑圧しているのなら、それはご高齢者1人1人の生活、そしてなにより人生に対して重大な不利益を与えている可能性があるということを自覚する必要があるかもしれません。

「他人や高齢者にうつさない」という善意(表面的なことが多い)が、実は高齢者の自立能力を早期に低下させてしまっているかもしれないということです。

繰り返しになりますが、持病などの症状やその時の健康状態、その時の状況によっては外出を控えたほうがよい時もあるということはもちろん承知しています。

しかし、感染対策として一日中家の中に閉じこもって過度に行動自粛する(自粛させる)ということで、結果的に日常生活をおこなう上での様々な機能が低下してしまい、結果フレイル状態に陥り、要介護状態を経て早期に衰弱、老衰状態となってそのまま機能回復せずに最期を迎えてしまうというのではあれば、それは「本末転倒」以外の何物でもない気がしてなりません。

とはいえ、あまりここで現状を憂いているだけでも仕方ないので、フレイルを回避するための対策を考えてみたいと思います。

フレイルの予防や対策として重要だとされているのが、①栄養②運動③社会交流の3本柱です。

しっかりと食事(栄養)をとるこで細胞代謝が活発になり活動するためのエネルギーが産生される→エネルギーが産生されるため運動量が増え、体力が向上(回復)する→運動量が増えるため外に出る機会も多くなり家族だけでなく近所の方やご友人などとコミュニケーションをとることができるという流れになります。

至ってシンプルなことですが非常に大切なことであると思います。

この3要素は相互に結びついているためどれか1つでもかけてしまうとよくはないとは思いますが、その中でもぼくが最も大切だと思うのは「社会交流」です。

一応治療家の立場からすると「運動」が一番大切であると言いたいところではありますが、
なによりもまず社会交流が希薄になることで、認知機能の低下→身体行動の減少→栄養摂取能力の低下に直結する可能性が高いと考えているため、ご高齢者一人一人がいかに他との「社会交流」を維持できるかがそういう悪い流れを断ち切る上で最も大切であると考えます。

では具体的にご高齢者のフレイル対策として私たちの世代にできるのは何か、それは日々の生活において可能な限りたくさんのご高齢者とできるだけ多くのコミュニケーションをとることです。

ご高齢者に対して、「やたらえらそうな態度」であったり、「いらいらした態度」であったり、「慇懃無礼な態度」をされている人を職場やお店、公共施設などのあらゆる場面場所でよく見かけますが、そんな乱暴なコミュニケーションの取り方をするのではなく、もう少し敬意をもち、より自然な態度でコミュニケーションをとる姿勢が重要だと思います。

不自然に気の利いたような態度をしてみたり、不自然にやさしい言葉をかけたりするようなものは不要だと思います。より自然なコミュニケーションが必要です。世間話でもいいでしょうし、自分のこと、相手のこと、些細なことで構わないと思います。

ただ言うまでもなく、その中に一定の礼節は必須です。

決して簡単な話ではないと思いますが、ご高齢者がいまよりも積極的にまた前向きに「社会交流」できれば、フレイル問題も少しばかりは改善されるかもしれないと思います。


とくやま徒手療法研究所・施術院


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